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 第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <次へindexへ>
プロの面目躍如。アビスパが天理大を一蹴。
第84回天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦 アビスパ福岡vs.天理大学

2004年10月10日(日)12:59キックオフ 博多の森球技場 観衆:1,078人 天候:雨
試合結果/アビスパ福岡9−1天理大学(前2−1、後7−0)
得点経過/[福岡]エジウソン(13分)、宮崎(17分)、[天理大]安本(30分)、[福岡]ホベルト(50分)、アレックス(52分)、太田(55分)、松下(70分)、太田(74分)、ホベルト(85分)、田中(89分)


取材・文/中倉一志

 今年から大会形式が一部変更になったことで9月23日に幕を開けた天皇杯全日本サッカー選手権大会。この日迎えた3回戦からJ2勢がそろって登場する。リーグ戦終盤の難しい時期に迎える天皇杯となったが、福岡の先発メンバーにはリーグ戦のレギュラーが並ぶ。エジウソンを中心としたコンビネーションを強固なものにすることと、自分たちのサッカーをきちんとやり遂げ、コンサドーレ札幌との戦いにつなげることが大きな目標だ。

 その福岡と対戦すべく博多の森に乗り込んできたのは奈良県代表の天理大学。関西学生リーグ2部ながら2年連続5度目の出場を果たした天理大は、2回戦で佐賀県代表の佐賀大学を3−1で下して3回戦へ進んできた。当然のことながら、戦前の予想は福岡が圧倒的に有利。しかし、プロ相手に自分たちのサッカーを余すところなくぶつける構えだ。ゴール裏には「頑張れ、天理大サッカー部」の横断幕。そして、試合は12:58にキックオフされた。



 当然のようにボール支配は圧倒的に福岡。しかし、福岡のリズムは悪い。サイドで起点を作っても誰も動き出さないためにチャンスを広げることができない。ポスト役を務める林はボールをキープすることもままならず、最終ラインはカバーリングが不安定。さらには不用意なプレーから天理大にチャンスを献上する始末だ。13分にエジウソンの個人技で、17分には宮崎のゴールで早々と2点を奪ったものの、連携もなく動き出しもないサッカーは変ることがなかった。

 やがて、2点のビハインドを負いながらも伸び伸びとプレーする天理大が前に出てくるシーンが目立ち始めた。天理大は守るときは最終ラインの4人にボランチと左MFを加えた6人で守り、奪ったボールは中盤を省略して前線へ。内海、垣内の2トップと右MF小林、そしてトップ下の曽根の4人でゴールを狙う。さらに右SBの丹波がオーバーラップ。福岡はこの動きを捕まえきれない。キープ率では上回りながら、相手の反撃を許すシーンが続く。

 そして30分、丹波がドリブルで持ち込んで右に流れた小林へ。この小林からの低く速いクロスに、後方から飛び込んできた安本が合わせてゴールネットを揺らす。ここからはむしろ天理大のペース。得意のサイドアタックと、小林、内海の裏への飛び出しでゴールを狙う。福岡は38分、身体の動いていない林を下げて太田を投入。なんとかリズムを作り直したものの、前半は2−1のままで終了した。大学生相手に力を見せ付けるはずの福岡だったが、この時点ではどちらにも勝機がある試合だった。



「こんな試合のままでは次の試合に絶対につながらない。とにかく早い時間に試合を終わらせるという意気込みを持ってやれ」。ハーフタイムに松田監督の檄が飛ぶ。そして福岡は、ここから見違えるようなサッカーを展開する。50分に挙げたホベルトの3点目がゴールショーの始まり。続く52分には太田、ホベルトとつないで最後はアレックス、更に55分にはエジウソンのシュートのこぼれ球を太田が決めて、あっという間に試合を決めてしまった。

 福岡が前半と大きく違ったのは、ボールを持たない選手がスペースを狙って積極的に裏へ飛び出したことだ。そして、フォローに付く選手もボールを追いかけて積極的に前に上がり始めた。ボールを待って足元へつなぐサッカーから、スペースからスペースへとつなぐ流動的なサッカーへの変化。前半はいいリズムを作っていた天理大も、この福岡の動きについていけない。ラインを意識的に高く保っていたこともあって、次から次へと最終ラインを破られた。

 攻撃の手を緩めない福岡は64分、エジウソンに代えて田中を右サイドへ投入。有光をFWの位置に上げる。そして、ここから再びゴールラッシュが始まる。太田を中心にして、有光、田中、宮崎が前後左右にポジションチェンジを繰り返す動きに天理大はなす術を持たなかった。70分に松下が6点目を上げたのを皮切りに、74分に太田が、85分にはホベルトが続く。そしてロスタイム。太田からのラストパスを受けた田中がドリブルで持ち込むと、右サイドからの狙い済ましたシュートでゴールネットを揺らして試合を締めくくった。



 メンタル面でコントロールができずに大学生相手に不本意な戦いをした前半。スペースへ選手が走りこみ、シンプルなボール運びからのサイドアタックが機能した後半。この試合で福岡は2つの顔を見せた。果たしてリーグ次節の札幌との戦いではどちらが顔を出すのだろうか。積み重ねてきたものを信じて積極的に戦えるかどうかが鍵を握ることになる。また、この日、再三にわたって好プレーを見せた有光はリーグ終盤戦の貴重な戦力として計算ができそうだ。

 さて敗れた天理大。最終的にはプロとの差をまざまざと見せ付けられた格好になったが、自分たちのサッカーはやれたのではないか。悔やまれるのは、攻守にわたって光るものを見せた丹波選手が怪我のためにピッチを去らなければならなかったことだった。しかし、失点を防ぐために低い位置で守りを固めるという戦術を取らず、最後まで最終ラインを高く保って反撃を試みた姿勢はチャレンジャーとしてふさわしいものだった。結果的には、それがスペースを突かれることにつながったのだが、彼らにとって貴重な経験となったことは間違いないだろう。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見


(アビスパ福岡) (天理大学)
GK: 塚本秀樹 GK: 田中大樹
DF: 川島眞也 千代反田充 増川隆洋 アレックス DF: 森田郁也 波夛野寛 濱田大介 丹波英史(58分/中村祐助)
MF: 有光亮太 ホベルト 米田兼一郎(52分/松下裕樹) 宮崎光平 MF: 安本芳朗 斎藤良平(67分/細川雄司) 小林雄太 曽根祐一
FW: 林祐征(38分/太田恵介) エジウソン(64分/田中佑昌) FW: 内海秀一(87分/河原一仁) 垣内宏哉
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