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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
小粒でもピリッと辛い鹿島学園、大量リードで追い縋る鵬翔を破る
第84回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 鹿島学園高校vs.鵬翔高校

2006年1月2日(月)12:10キックオフ さいたま市駒場スタジアム 観衆:2.800人 天候:雨
試合結果/鹿島学園4ー2鵬翔(前2−0、後2−2)
試合経過/[鹿島学園]平山(16分)小原(27分)佐々木(42分)小原(67分)
     [鵬翔]角島(69分)北村(79分)


取材・文/砂畑 恵

 選手入場を待たずに、たおやかに雨が降り始めた駒場スタジアム。同会場で行われる2回戦の第1試合は茨城県代表・鹿島学園と宮崎県代表・鵬翔が一戦を交えた。4ー4ー2の布陣ながら中盤の構成を異にする両チーム。鹿島学園がダイヤモンド型なのに対し、鵬翔はボックス型で挑む。

 立ち上がりから火花を散らし、互いに主導権を奪おうとするつばぜり合いが続く中、先手を打ったのは鹿島学園。16分小原のパスを受けた佐々木がドリブルで突っ掛け、フィニッシュまで持って行った。それほど強烈ではなかったシュートはGK相葉の手に収まるかと思えたが先刻から降った雨によりボールが滑り落ちる。それを透かさず平山がプッシュして先制点となった。



 ところがゲームの主導権そのものは鹿島学園ではなく点を入れられた鵬翔の方にあった。右サイドから内に絞ってボールを捌く山本、テクニック溢れる角山のドリブルも魅力的だ。ボールキープ力の高い鵬翔に押されるように自陣に下がる鹿島学園。前で相手の攻撃を前で食い止めたい思いとは裏腹にボランチも苦戦する中で守備位置が深くなる。そうなればセカンドボールを拾っては散らす鵬翔の強気の攻めは助長する。25分、GK安藤の反則から鵬翔にペナルティーエリア内でのFKが与えられた。6枚の壁を作る鹿島学園。宮路から後ろに流され蹴った太田のシュートはゴールに向かって一直線の軌跡を描いたが、左ポストの金属音を響かせるに留まる。

 その2分後、それまで攻撃は小休止状態に陥っていた鹿島が追加点を奪った。榎本のクロスに対し、難なく鵬翔DFが処理しようとしたところを背後から小原がかっさらってシュート。抜け目のない俊敏な動きがもたらした一瞬の出来事だった。

 それでもゲームが鵬翔ペースなのは変わらない。29分、GK安藤に好守に阻まれたとはいえ、ゴール混戦の中で放った角島の反転シュート、31分の僅かながらにバーを越えた太田のドロップシュートなどチャンスだけは欠かさない。ただそれが結果に直結することがないだけ。調子のよい攻撃は後半立ち上がりにも引き継がれたのではあるが…。42分、鵬翔は自らのミスで佐々木にボールを奪われ、GKと1対1を冷静に流し込まれてしまった。



 相変わらずの鵬翔が主導的にゲームを進めている状況が続く中、鹿島学園の守備陣は落ち着き払っていた。味方が挙げてくれた大量得点のお陰で、緊迫した状況から脱して伸びのびとプレーすることが出来たからだ。こうなるとファインプレーも産まれるというもの。43分、ゴール前で横パスを受けた金久のクロスバーぎりぎりに飛んだシュートを GK安藤がファインセーブ。51分には鵬翔のCKから今度こそ決まったと思われた山田のヘッドもゴールカバーに入った竹内がライン上でクリアー。DF陣の身体を張ったプレーに対し、攻撃陣も更なる追加点で答える。この日、小原自身の2得点目となる直接FKを沈めた。

 鹿島学園を追い詰めながら鵬翔にとっては遠いゴール。しかもゲームは4点差に広がった。だが諦めない気持ちが残り10分になろうかという時間帯で花開く。69分、左エンドでボールを繋ぎ、一旦、下げられたボールを宮路は右縦に送った。それを田中がダイレクトでセンタリング。中央に走り込んだ角山のヘッドが炸裂し、鹿島学園ゴールをこじ開けた。そしてロスタイム、気まぐれに方向を変えて両チーム間を動くボールを追い続け、ようやく角島が頭で落としたパス。渾身込めた北村のミドルシュートは相手DFに当たってネットを揺らした。しかし追い上げもここまで。大量リードがものをいい鹿島学園が逃げ切った。



 「0点で終わったのではなく、点を挙げたことが次に繋がる」。鵬翔・松崎監督はそう話した。点差が付きながら、あれほど固かった鹿島学園のゴールを最後にはこじ開けた精神力は並大抵ではない。GKが怪我でチームを離れていたこともあって、「DFとのコミュニケーションが上手く取れなかった」と松崎監督は悔やんでいたが、丁寧にパスを繋いでゴールを目指す鵬翔サッカーは観客に十分伝わったことと思う。勝敗ではなく、サッカーの本質がそこには詰まっていた。

 嬉しい全国初勝利を挙げた鹿島学園。チーム内にスーパーな選手はいないが、攻撃陣は相手に隙あらばそれを逃さないという集中力が高く、粘りがありチームワークのよい守備がそれを支える好チームだ。全国の壁を1つ越えるとチームは大きく成長する。前半なのに2点取って勝ちを意識し、引いてしまった部分など鈴木監督はまだ課題があるとは話してはいたが、「チーム一丸」の雰囲気を大切に、次のステップに挑戦して欲しいと思う。


(鹿島学園高校) (鵬翔高校)
GK: 安藤恭平 GK: 相葉祐哉
DF: 椎名拓也 平野泰之 後藤大地 竹内裕也 DF: 山田拓弥 酒井剛 宮路洋輔 村上達哉
MF: 横山将為 小原秀一 平山正樹(79分/村上友章) 榎本有真(58分/小玉泰輔) MF: 大久保勇哉 金久真也 田中秀(70分/加藤和也) 山本郁弥(61分/北村隆起)
FW: 佐々木竜太(79分/杉下聖哉) 眞家巧 FW: 角島康介 太田聡
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