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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
ゴール裏に立てられたノボリ。浦和東は地元の期待を背負って戦う
地元・浦和東が明徳義塾を圧倒。3回戦へ
第84回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 埼玉県立浦和東高等学校vs.明徳義塾高等学校

2005年1月2日(月)12:10キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:2800人 天候:雨
試合結果/埼玉県立浦和東高等学校6−1明徳義塾高等学校(前1−1、後5−0)
得点経過/[明徳義塾]小林(5分)、[浦和東]三島(25分)、中川(52分)、鈴木(63分)、菅沼(64分)、鈴木(68分)、菅沼(76分)


取材・文/中倉一志

 ゴール裏に、ユニフォームをかたどった赤い横断幕と赤と青のノボリがずらりと並ぶ。ノボリに染め抜かれているのは「浦和東」の3文字。2回戦が行われた埼玉スタジアム2002のピッチの上に地元・浦和東が登場した。中立地で行われている全国大会も、自分たちの地元で試合が出来る関東圏のチームにとってはホーム同様。スタンドには、学校関係者、父母会のほかに一般客が多く足を運んでいるが、その多くが赤いものを身につけている。

 対する高知代表の明徳義塾は4年ぶり3度目の出場。1回戦では帝京長岡を下して2回戦に進んできた。本来ならばないはずのアウェイでの戦いを応援するのは、クラブの後輩のほか、四国からやってきた仲間たち。こちらもゴール裏には「一刻生涯」と染められた明徳義塾サッカー部のノボリがはためく。雨混じりの埼玉スタジアム2002は故郷の四国と違って冷え込みが厳しいが、勝利に対する熱い気持ちを胸に抱いてピッチに立つ。



ゴール前で激しく競り合う両チーム
 先制点を挙げたのは明徳義塾。右サイドから野村政夫の放ったシュート気味のクロスボールをGK伊藤謙がファンブル。そこへ鋭くつめた小林優が押し込んだ。開始直後の5分のことだった。しかし、その後は互いに高い最終ラインを維持し、コンパクトなゾーンを敷いて一進一退の攻防を繰り広げる。長いボールを前線に運んで攻め込むのは浦和東。高い位置に起点を作ると、セカンドボールを拾って前に出る。明徳義塾の武器は洪英植と野村の高速ドリブル。ボールを奪うと早い攻守の切り替えから右サイドを中心にゴールを目指す。

 どちらかと言えばボールキープ率で勝るのは浦和東。明徳義塾陣内での攻防が続く。だが得点の匂いがするのは明徳義塾。反撃する時間は制限されているもの、自分たちの形をしっかりと表現する。ボールを持ってはいるもののシュートに持ち込めない浦和東とは対照的だ。「あれで前半に2、3点取られていたら試合は終わっていた」。野崎正治監督(埼玉東)は試合を振り返る。それでもワンチャンスあればゴールがうまれるのがサッカー。そのワンチャンスをものにしたのは浦和東だった。

 時間は25分。後方からのロングフィードを鈴木寛一が頭で落とすと、走りこんできた鈴木康平がボールをキープ。寄せてくるDFを右へかわして右足を振りぬくと、ゴールネットが大きく揺れた。「いい形から、いい時間帯に先制点か取れて、この流れでいけるかと思っていたが、あの同点ゴールでリズムが狂った」(高崎善充監督・明徳義塾)。前半はこのまま折り返したが、試合の流れは大きく浦和東に傾いた。



後半に勝負をかけた明徳義塾だったが・・・
 前半とは変わってボールをつないで攻撃を作る浦和東は、グイグイと明徳義塾を押し込んでいく。シュートに持ち込めない傾向は相変わらずだったが、52分にゴール正面で得たFKを中川周が直接叩き込むと、ここからは一方的な浦和東のペース。「相手が前に出てきてからは裏が空いて点が取れた」(野崎監督)。浦和東の3点目は63分。ペナルティエリア内でルーズボールが高く弾んだところを、鈴木真一が頭で押し込んだ。

 この1点で明徳義塾の集中が切れる。それに乗じて浦和東は更に明徳義塾に襲い掛かった。その1分後、石塚悠幾が左サイドからCB2人の間に絶妙なクロス。その間に走りこんできた菅沼守が右足インサイドで合わせて4点目。そして5点目は68分。中川が自陣からのFKを中央へ送り込む。ターゲットとなった菅沼が頭で落とすと、底へ回りこむようにして走り込んだのは鈴木。ゴール正面から右足を振り抜いて5点目をゲットした。

 そして、ゴールショーの締めくくりは78分。左サイドを駆け上がってペナルティエリアの角まで持ち込んだ菅沼は、対峙するDFが体を寄せてこないことを確認すると、狙い済ましたように左足を一閃。うなりを挙げたシュートがゴールの天井部分に突き刺さった。そして2分のロスタイムが経過して試合終了のホイッスル。一進一退の攻防で始まった試合も、終わってみれば浦和東が6−1で圧勝して幕を閉じた。



明徳義塾側ゴール裏にも野簿が立てられた
「点を取りに行ってカウンターを喰らったが、それは覚悟の上。1点差も、5点差も同じこと。点を取りに行くためには仕方がない。選手たちを攻めるつもりはない」とは敗れた明徳義塾の高崎監督。そして次のように続けた。「今年のこどもたちは選手権は初めて。最後に悔いが残ったかもしれないが、全力を出し切ったことも絶ちは良くやってくれた。足りないものはすべての面で経験。すばらしい舞台でやれた経験を元にして、来年、また帰ってきたい」。明日からは新しいチームの新しい挑戦が始まる。

 一方、快勝にも表情を緩めなかったのは野崎監督(浦和東)。チームが目指すのは、人もボールも動くサッカー。攻め切れなかった前半を「ボールが空中を動いている」と厳しい評価を下した。しかし、「これは体育大会じゃなくて選手権。いかにして勝ちに終われるかに尽きる。サッカー自体には満足していないが、ひとつでも多く勝つ」と勝負にこだわる姿勢も見せた。3回戦の相手は鹿島学園。どんなサッカーを見せてくれるのだろうか。







(埼玉県立浦和東高等学校) (明徳義塾高等学校)
GK: 伊藤謙 GK: 灘順平
DF: 秋葉淳平 若海純 小森隆生 中川周 DF: 寺嶋典之 山中誠晃 池哲史 田村龍一(73分/橋場将紀)
MF: 横川健太 石塚悠幾(65分/平岡佳晃) 三島康平(67分/小林正憲) 菅沼守 MF: 島田翔平 洪英植 松本憲 小林優(58分/下元英司)
FW: 渡邊大貴(48分/田中洋兵) 鈴木寛一 FW: 野村政夫 山崎誠也(54分/植田一穂)
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