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 第25回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
独特のスタイルでキックオフ前に気合を入れる道文教大明清高
「北の女王」北海道文教大学明清高校、新鋭吉備国際大学を破る。
第25回全日本女子サッカー選手権大会 1回戦 北海道文教大学明清高等学校vs.吉備国際大学

2004年1月11日(日)13:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:200人 天候:曇
試合結果/北海道文教大学明清高校4−1吉備国際大学(前1−1、後3−0)
得点経過/[道文教大明清高]浮田(8分)、[吉備]片山(19分)、[道文教大明清高]中野(43分)、神成(63分)、中野(76分)


取材・文/中倉一志

 北の大地から南国九州に降り立った北海道文教大学明清高等学校(以下、道文教大明清高)。その実力は「北の女王」の名にふさわしい。全道高校女子サッカー選手権では第1回大会から12連覇中。今年は、同選手権をはじめ、全道女子ユース(U-18)サッカー選手権、国体北海道選手選考会、全道女子選手権と北海道の主要大会のすべてに優勝。2年ぶり2度目の完全制覇を果たした。16勝無敗、101得点3失点の成績は、北の大地・北海道では他の追随を許さない圧倒的な力を保持していることを示している。

 その北の女王と対峙するのは中国代表の吉備国際大学。女子サッカー部の創部は2000年4月と産声を上げたばかりのクラブだ。しかし、創部翌年には全日本大学女子サッカー選手権に出場。中国勢として初めて全国の舞台で勝利を挙げた。そして2003年シーズンは、第2回中国女子サッカーリーグを7戦全勝で制覇。中国地域大会を勝ち抜いて初の全国大会へ駒を進めてきた。歴史は浅いが実力は十分。急成長を続けるチームは、その勢いのまま全国の舞台に挑む。



ゴールを死守するGK澤田法味。全員で守る粘り強い守備が後半の
反撃につながった。
激しく競り合う両チームのイレブン
 まず攻勢に出たのは吉備国際大学。鋭い出足とハードな当たりで前へ、前へと突き進んでいく。「単純に入れるんじゃなくて、一回預けてから裏に入れろ」(太田真司監督・吉備国際大)。その指示通りに、マイボールを早めにトップに当ててから、両サイドのスペース、あるいはディフェンスラインの裏側にボールを供給。そこへ、FW杉本、2列目の片山、そして高い位置を取る右WBの前村が飛び出していく。フィジカルコンタクトの強さとスピードで道文教大明清高を押し込めた。

「北海道は1メートルちょっとの雪が積もってる。10月後半からグラウンドで練習ができない状況で、広いスペースでの練習をやっていないし、相手もデータのないチームでどういったサッカーをするのかわからない。自分たちの力をどれだけ出せるかということが狙い」(高崎裕治監督・道文教大学明清高)。しかし、さすがに戸惑いは隠せない。加えて、吉備国際大学の激しいプレーに臆したのか、後ろに体重が乗ったままのプレーが続く。

 しかし、劣勢にあるチームが必ずしも失点を喫するとは限らない。だからサッカーは面白い。時間は8分、左サイドで直接FKのチャンスを得た道文教大学明清高は浮名がゴール前へ。そのボールに合わせようと飛び込んでくる選手が気になったのか、GK竹田は飛び出せない。すると、ボールは微妙な位置でワンバウンドして、そのままゴールに吸い込まれた。道文教大学明清高にとってはラッキーな、吉備国際大学にとっては交通事故のような失点だった。



 先制点で落ち着いた道文教大学明清高は攻めの意識を強くする。そして、吉備国際大学も前に出る気持ちに微塵も揺るぎはない。そして互いにゴールを目指して攻めあうというスリリングな展開で試合は進んでいく。そして吉備国際大学の同点弾は19分、前村がディフェンスラインの裏側へロビングボールを送ると、裏へ抜け出した片山がボレーシュートで合わせた。狙い通りのパターンからのゴール。次第に吉備国際大学が攻勢を強めていく。

 吉備国際大学の長いボールと強いフィジカルコンタクトが気になるのだろう。道文教大学明清高はボールを追いながらも、後一歩が前に出ない。吉備国際大学の波状攻撃が始まり、道文教大学明清高は再び自陣内に押し込められる。しかし、吉備国際大学もフィニィッシュが決まらない。いい形を作りシュートも打つのだがゴールラインを割れないのだ。「2点目をどのタイミングでとるかというのが向こうとの勝負だった」(太田監督)。吉備国際大学にいやなムードが漂い始める。

 そんな吉備国際大学の最大のチャンスは37分、片山が裏へ抜け出して決定的なシーンを作り出した。しかし、道文教大明清高の絶体絶命のピンチをGK澤田が救う。ファインセーブを見せて片山のシュートをはじき返すと、そのこぼれ球を拾われて至近距離から打たれた2本のシュートを立て続けにセーブしたのだ。そして前半終了のホイッスル。押されていた道文教大学明清高にとっては1−1で十分の折り返し。吉備国際大学にとってはいやな終わり方だった。



前半から攻めながらも敗れた吉備国際大学。明日から新しいチャレン
ジが始まる
 そして43分、事実上の試合を決めるゴールが道文教大学明清高に生まれる。ゴール前の混戦の場面から、中野が体制を崩しながらも左足を振りぬくとゴール左隅の絶妙なコースにシュートが突き刺さった。そしてここからは道文教大学明清高のペース。勇気を出して前からボールを追って吉備国際大学のロングボールを封じ、前に出てくるところを捕まえては大きく右サイドのスペースへ展開。カウンターから何度も好機を演出する。

 吉備国際大学も決してあきらめていたわけではない。その証拠に前半以上に激しく前へ出てきてもいた。しかし、それは道文教大学明清高の狙い通り。63分、裏へ飛び出した福庄がそのまま持ち込んでシュート。一度はGKにはじかれたが、そのこぼれ球を神成が押し込んで3点目をゲット。さらに76分、絵に描いたようなカウンター攻撃から最後は中野がゴールを決めて、粘る吉備国際大学を突き放した。

「チームとしてやろうとしていることは良くなってきているが、得点を決める、踏ん張ってはじくという、局面で個人の力に差がある。個人の部分の力を上げていかないと全国では勝てない」と太田監督は試合を振り返る。その一方で、現在の力を出し切ったと選手たちに一定の評価も与えていた。吉備国際大学は、これから歴史を積み重ねていくチーム。この敗戦を教訓に更なるレベルアップを狙う。

 久しぶりのフルコートでの試合に戸惑いを見せながらも、終わってみればきっちりと試合を締めた道文教大学明清高。北海道で記した圧倒的な勝利の数々がレベルの高さによるものであることを立証して見せた。疲労が出る時間帯でもぶれない高い技術。ボールを正確に捉えるキック力等、そのポテンシャルの高さを十分に見せてくれた。「L・リーグと戦うことを目標にしてきたのでほっとしている。守りっぱなしにはせず、北海道のレベルがどこまで戦えるのかというのを見たい」(高崎監督)。2回戦では「さいたまレイナス」に挑む。


(北海道文教大学明清高校) (吉備国際大学)
GK: 澤田法味 GK: 竹田祥子
DF: 波佐谷唯 浮田あきな 小森有華 石川このみ DF: 池田瑞穂 近藤朋香 力武三奈 猪野美奈子
MF: 坂本珠梨 目黒宝 白浜亜美 中野真奈美 MF: 増田陽子 渡部多佳子 片山愛 前村綾子
FW: 福庄希実 神成美紀 FW: 杉本あすか 竹下由紀(72分/池澤美沙子)
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