topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 頑張れ!女子サッカー 04/06/26 (土) <前へ次へindexへ>

 再始動した日本女子代表。照準はスウェーデン戦。
 日本女子代表候補トレーニングキャンプ(6/21〜23)

 文/西森彰
「8ミリ真珠のネックレス、それにダイヤのリングをいただけるという話を聞きました。ダイヤは大きさにもよりますけれど、8ミリの真珠は結構、高いはずです。酒の席でのお話なので、このままだと無かったことにされそうなので、書いてください(笑)」(川上直子・TASAKIペルーレFC)

 L・リーグの初戦・宝塚バニーズレディースSC戦後に行なわれた田崎俊作会長との食事会の席で、TASAKIの代表選手5名はそう約束されたらしい。「TASAKI 50」と記されたユニフォームのプレゼントに感激したのか。選手たちの活躍がテレビ等の電波に乗る広告効果を認めたのか。それとも不景気の中、好調を続ける会社の業績あってのことなのか。その理由は定かでない。

 いずれにしても、本当に喜ぶべきは、彼女たちが高級装飾品をプレゼントしてもらえるようになったことではなく、カメラ4台を含む30人の報道陣に対して、記事のネタを用意できるまでになったことだろう。4ヶ月前には私を含め3人しかいなかった取材陣は、今やJヴィレッジのロビーを埋め尽くしている。一過性に終わるかと思われた「女子サッカーブーム」だったが、五輪出場が決まって以来、予選の勢いを持続するどころか、さらなる加熱ぶりを見せているのだ。



 6月21日(月)、本大会を目指すチーム内の競争が再開された。今回は僅か3日間のミニキャンプ。初日と最終日は移動もあるので、2部練習は2日目だけ。できることは少ない。「今回の合宿については『初戦のスウェーデンに勝つ』ということをテーマにモチベーションをあげたい」と上田栄治・日本女子代表監督は、大会初戦に照準を絞って、選手たちに意識付けをしていこうとしている。

 怪我でしばらく戦線を離脱していた澤穂希が復帰し、直前に追加された宮間あやを含む23人が召集された。アテネ五輪本大会に選手として参加できるのは、アジア予選時の20人からさらに絞られて、たったの18人。23人の中から、最低でも5人はメンバーから外される。先日のアメリカ遠征で、第2戦のAマッチに出場したのは下記の16人。

(日本女子代表・6月6日対アメリカ戦)
GK: 山郷のぞみ(フル出場)
DF: 川上直子(88分/山岸靖代)、磯崎浩美(フル出場)、下小鶴綾(フル出場)、矢野喬子(フル出場)
MF: 酒井與惠(フル出場)、宮本ともみ(フル出場)、山本絵美(75分/柳田美幸)、安藤梢(57分/小林弥生、88分/北本綾子)
FW: 荒川恵理子(68分/丸山桂里奈)、大谷未央(フル出場)

 出場機会は無かったものの、控えメンバーとして登録されていたのが小野寺志保と大部由美。これに怪我の治療で帯同できなかった澤を加えた19人がとりあえずの第一集団。岡山湯郷Belleの若い福元美穂と宮間あや。予選では最後までグループに残っていた近賀ゆかり(日テレ・ベレーザ)。そして宮崎有香(伊賀FCくノ一)を加えた4人が、19人の背中を追う形だ。第一グループの壁は厚いが、下小鶴綾(スペランツァF.C.高槻)のように、シンデレラガールになるチャンスも残っている。



「澤(穂希・日テレ・ベレーザ)が怪我をした。山岸(靖代・伊賀FCくノ一)が怪我をした。果たしてこの22名で大丈夫なのか。L・リーグも見たんですけれど、やっぱり中盤に不安が残る。宮間はワールドカップのメンバーで、しばらくU-19に専念させていましたが、今泉(守正・U-19日本女子代表監督)さんの評価が最も高かった選手。次の7月のキャンプでは、時間的に相当厳しい。そういうこともあって土曜日(6月19日)に決めました。絶対に彼女を選ぶわけではありません。将来的なことはともかく、今度のオリンピックについては、このミニキャンプが彼女にとってのラストチャンスです」

 宮間の追加招集の理由について、そう語った上田監督は、L・リーグ第1節の日テレ・ベレーザ対大原学園JaSRAのゲームを視察している。「中盤に不安が残る」というセリフは、取り囲んだ報道陣の筆を通じて、宮間とポジションがかぶる小林弥生、近賀ゆかりの2人に伝わることを期待したのだろう。もちろん、宮間に対しても「ラストチャンス」と明言し、ハイレベルの競争を期待している。

 その一方で、エースの澤穂希についての信頼は揺ぎ無い。「(澤の回復具合と宮間の招集は)関係ありません。非常に、順調に回復していますよ」と報道陣にも強調し、焦らせないように配慮する。やはり、澤は別格なのだろう。普通に待てば本大会には間に合う。サバイバルに放り込んで右膝の具合を悪化させては元も子もない。そんな配慮が感じられる。

 合宿初日から参加した澤本人も「走るだけなら、全く痛みはありませんし、随分、走り込まされているんで、心肺機能も落ちていません。ただ、これから対人(練習)を始めて、どれだけできるかですね。アテネには絶対に間に合うと分かっているんで、無理をしてまた悪化させることはしないように」と、コンディション重視の意識ははっきりしている。



 この合宿ではもうひとつ、判定基準の確認も行なった。Jリーグで優秀主審賞を受賞した上川徹スペシャルレフェリーを招いて、ジャッジの傾向に関する講義を受講したのだ。これは先日のアジア予選決勝のPKに起因している。

「ご存知のように中国戦ではPKで負けました。その前のアメリカ遠征でもそういうシーンがあったので、こういったプレーでPKを取られるのかどうか、そこを確認しておきたい。明日はフォーメーション練習などでの混戦をビデオでとって、それが最近の傾向でファールになるのかどうかを見てもらいます」(上田監督)

 ワールドカップ予選前のサンフランシスコ・ナイトホークス戦、カリフォルニア・ストーム戦の際に、同じ審判に微妙なPKを取られたのはGo for Athens(3)で既報の通り。当時はプレゼントゴールと考えていたプレーを、中国戦でもPKと判定されたことで、一度きちんと整理しておこうという意図だ。

「代表合宿を組めるのはあと20日間。各クラブでも、高いモチベーション、高い士気を持ってトレーニングに精進してもらいたい。その意識付けをしっかりするつもりです。(『その方法は?』との報道陣からの質問に)『私の言葉』。どうでしょう? ダメですか?」

 最後は笑いを誘った上田監督だが、軽めの練習の中でも基本プレーを厳しくチェックし、緊張感ある雰囲気を作り出していた。オリンピックで過去1勝もしたことがない国が背負う「メダル」という目標は、かなりしんどい荷物である。だが、このチームを見ていると「ひょっとしたら、ひょっとするんじゃないか」。そんな気持ちにさせられてしまうのだ。


(アテネオリンピック日本女子代表候補・6月23日(水)現在)
<スタッフ>
監  督  上田 栄治  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
コーチ  吉田 弘  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】
GKコーチ  川島 透  【(財)日本サッカー協会 ナショナルコーチングスタッフ】

<選  手>
Pos  氏 名  (英語表記)  生年月日  身長 体重  所 属
GK  山郷 のぞみ  Yamago Nozomi   1975.01.16  164cm 60kg  さいたまレイナスFC
 小野寺 志保  Onodera Shiho  1973.11.18  163cm 52kg  日テレ・ベレーザ
 福元 美穂  Fukumoto Miho  1983.10.02  164cm 65kg  岡山湯郷Belle
DF  大部 由美  Obe Yumi  1975.02.15  167cm 62kg  YKK AP フラッパーズ
 磯崎 浩美  Isozaki Hiromi  1975.12.22  163cm 52kg  TASAKIペルーレFC
 川上 直子  Kawakami Naoko  1977.11.16  156cm 50kg  TASAKIペルーレFC
 宮崎 有香  Miyazaki Yuka  1983.10.13  164cm 58kg  伊賀FCくノ一
 山岸 靖代  Yamagishi Yasuyo  1979.11.28  163cm 62kg  伊賀FCくノ一
 矢野 喬子  Yano Kyouko  1984.06.03  164cm 55kg  神奈川大学
 下小鶴 綾  Shimokozuru Aya  1982.06.07  167cm 53kg  スペランツァFC高槻
MF  酒井 與惠  Sakai Tomoe  1978.05.27  158cm 48kg  日テレ・ベレーザ
 小林 弥生  Kobayashi Yayoi  1981.09.18  156cm 50kg  日テレ・ベレーザ
 近賀 ゆかり  Kinga Yukari  1984.05.02  161cm 53kg  日テレ・ベレーザ
 安藤 梢  Ando Kozue  1982.07.09  164cm 55kg  さいたまレイナスFC
 山本 絵美  Yamamoto Emi  1982.03.09  158cm 53kg  TASAKIペルーレFC
 柳田 美幸  Yanagita Miyuki  1981.04.11  158cm 54kg  TASAKIペルーレFC
 宮本 ともみ  Miyamoto Tomomi  1978.12.31  168cm 59kg  伊賀FCくノ一
 宮間 あや  Miyama Aya  1985.01.28  157cm 49kg  岡山湯郷Belle
FW  澤 穂希  Sawa Homare  1978.09.06  163cm 57kg  日テレ・ベレーザ
 荒川 恵理子  Arakawa Eriko  1979.10.30  166cm 55kg  日テレ・ベレーザ
 丸山 桂里奈  Maruyama Karina  1983.03.26  162cm 56kg  日本体育大学
 大谷 未央  Otani Mio  1979.05.05  160cm 49kg  TASAKIペルーレFC
 北本 綾子  Kitamoto Ayako  1983.06.22  166cm 57kg  さいたまレイナスFC
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送