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 webnews 05/10/05 (水) <前へ次へindexへ>
福岡、貴重な勝ち点3をゲット。J1昇格に大きく前進
2005Jリーグ ディビジョン2 第34節 湘南ベルマーレvs.アビスパ福岡

2005年9月30日(金)19:04キックオフ 平塚競技場 観衆:3,521人 天候:晴
試合結果/湘南ベルマーレ1−2アビスパ福岡(前1−0、後0−2)
得点経過/[湘南]梅田(49分)、[福岡]グラウシオ(72分)、古賀(73分)


取材・文/中倉一志

 主導権を奪いながらも決定機を逃し、不用意なミスを続けるうちにリズムを失う。そして喫した先制点。そんな試合を福岡はひっくり返してJ1昇格へ向けての大きな勝ち点3を手に入れた。しかし、松田浩監督(福岡)の表情に安堵感が浮かんでも笑顔はない。「一番大事な勝ち点3を取れたということで、本当にほっとしている。しかし、こういう試合をやっていてはいけない。負け試合になってもおかしくない展開」(松田監督)。それは、J1昇格の難しさを思い知らされているからこその言葉だ。

 一方、それなりに戦いながら結果という形を掴めなかったのは湘南。「途中までは我々の戦い方が上手く行っていただけに、後半、短い間に2点を取られたというのが非常に残念」と上田栄治監督(湘南)は試合を振り返る。互いの間に大きな差があったわけではない。それでも奪えなかった勝ち点3。結局はディテールの部分を押さえきれなかった。しかし、それこそが勝敗を分ける鍵。それこそが勝ちきれないシーズンを過ごす湘南の課題と言えるのかもしれない。



 試合は、互いが特徴を出し合う展開で始まった。ホームの湘南は柿本、梅田の2トップにボールを当てて高い位置に起点を作ると、加藤が裏へ飛び出し、そして右サイドからはゴーランが攻め上がる。対する福岡は、コンパクトなゾーンを形成してシンプルなパス回しからリズムを掴むと、両サイドへ展開して得意のサイドアタックを仕掛ける。グラウシオ、アレックス、そして古賀が作り出す左サイドの圧倒的な攻撃力は、この日も健在だ。

 そんな序盤戦を過ごして、まず主導権を握ったのは福岡。攻撃に転ずる時の切り替えの早さと、湘南を上回る中盤の出足の早さで、湘南を自陣へ押し込んでいく。そして15分にはゴール前でドフリーになったグラウシオがヘディングシュート。さらに31分には、再びグラウシオがGKとの1対1からシュートを放つ。しかし、この決定的な場面を決め切れなかったことで福岡はリズムを崩す。不用意なミスが目立ち、ゴール前での雑なプレーが増えていく。

 そして、程なく湘南が主導権を奪い返す。起点となったのは柿本と梅田の2トップ。立ち上がりから福岡はこの2人を捕まえきれずにいたが、自分たちの攻撃のリズムが崩れたことで、湘南の2トップの存在感が増した。38分には吉野が、40分には梅田が、そして43分には2トップのコンビネーションから柿本が、それぞれ決定的なシュートを放つ。決めるべきところで決められなければ、相手にリズムが行くのはサッカーの常。試合の流れは湘南へと移っていく。



 後半に入っても流れを掴んだのは湘南。そして49分、CKのチャンスに吉野が頭で流すと、そこへ飛び込んできたのは梅田。次の瞬間、福岡のゴールネットが揺れた。更に勢いを増す湘南は、ボランチが押し上げ、冨山が右サイドからオーバーラップを仕掛け、2点目を目指す。そんな湘南に対して福岡も細かいパスワークと、後方から押し上げて人数をかける攻撃で湘南ゴールを目指す。しかし、この日の福岡は、不用意なミスが目立ち、ゴール前でも淡白なプレーを繰り返してチャンスらしいチャンスが作れない。

 57分、松田監督は山形に代えて岡山を投入。中盤を中村北斗のワンボランチにして、グラウシオをトップ下に置く。さらに67分、今度は田中に代えて太田を投入。2人の長身FWを前線に並べて力任せに点を取りに行く姿勢を見せる。そして72分、中村北斗のヘディングシュートがポストに当たって跳ね返ったところを岡山がゴール前へ流し込むと、そこへグラウシオが飛び込んでボールを押し込んだ。

 そしてその1分後、気落ちした湘南に福岡が襲い掛かる。グラウシオからのフィードを太田が頭で流すと、そのボールを拾った古賀がドリブルでゴール前へ。右足で放ったシュートが、足を投げ出した湘南DFに当たって跳ね返り、それが再び古賀の右足に当たって、そのままゴールへ。タイミングを狂わされたGK小林は、ループ気味に飛んでくるボールを、ただ見送ることしか出来なかった。これで勝負あり。その後は福岡が湘南を押し込んで2−1のままで試合を終わらせた。



 福岡の拙攻にも救われる形で上手くゲームを進めていた湘南だったが、わずか1分で勝利が手からすり抜けた。「どちらに点が入るにしても、あの時間帯しかなかった」と松田監督は2点目を振り返ったが、同点となったことで安心せずに、一気に逆転を狙った福岡と、同点になったことで反撃をすることよりも意消沈してしまった湘南の差が2点目を福岡にもたらした。結局、勝負を分けたのは、わずかな心理状態の差。それは、J1昇格争いの真っ只中にいる福岡と、上位から大きく離された湘南の気持ちの差と言えるるものだったかもしれない。

 さて「ある意味では負け試合になっていた試合」を勝ち点3に変えた福岡は、2位の山形が敗れ、そして甲府が引き分けたことで、3位との差を11に広げた。決していい勝ち方ではなかったが、手に入れたものは最高の結果。なにやら、周りから福岡を後押しする風が吹き始めたようだ。しかし、松田監督をはじめ、選手たちは気を緩めるそぶりも見せない。「これまでと同じように1試合、1試合、目の前の試合に集中して勝ち点3を取っていく。そういう戦い方を最後までやりたい」(松田監督)。福岡は変わらぬ姿勢でJ1昇格のゴールを目指す。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
上田栄治監督(湘南ベルマーレ)記者会見


(湘南ベルマーレ) (アビスパ福岡)
GK: 小林弘記 GK: 水谷雄一
DF: 冨山達行 戸田賢良 城定信次 村山祐介 DF: 宮本亨 長野聡(45分/山形辰徳) 千代反田充 アレックス
MF: ゴーラン(77分/石原直樹) 吉野智行 佐藤悠介 加藤望 MF: 宮崎光平 中村北斗 山形恭平(57分/岡山一成) 古賀誠史
FW: 柿本倫明 梅田直哉 FW: 田中佑昌(67分/太田恵介) グラウシオ
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