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 webnews 04/11/25 (木) <前へ次へindexへ>
ロスタイムの決勝ゴール。福岡が遂に3位に浮上!
2004Jリーグ ディビジョン2 第42節 湘南ベルマーレvs.アビスパ福岡

2004年11月20日(土)14:04キックオフ 平塚競技場 観衆:3,926人 天候:晴
試合結果/湘南ベルマーレ0−1アビスパ福岡(前0−0、後0−1)
得点経過/[福岡]ホベルト(89分)


取材・文/中倉一志

 レフェリーがピッチの外に向かって示した数字は3。そして、その3分間も既に経過、いつ試合終了を告げるホイッスルが鳴ってもおかしくない時間だった。しかし、福岡イレブンは諦めない。遠く福岡からやってきたサポーターの大声援とともにボールを前に運び、ゴールを狙う。なりふりかまわずゴール前に放り込む姿は華麗なサッカーとは程遠い。だが、何が何でも勝ち点3を奪うという気持ちが、そのプレーからは伝わってくる。

 そして福岡に歓喜の瞬間が訪れる。湘南のクリアを拾った松下からホベルトにボールが渡る。目の前にDFがいるのを確認するとボールを左足に持ち替えて一閃。次の瞬間、平塚のゴールネットが大きく揺れた。「90分間、勝ちたいと思い続けて戦い抜いた結果、生まれたゴール」(松田監督・福岡)。互いに持てる力は発揮した。両チームを分けたものは勝負に対する少しの気持ちの差と、厳しい戦いを続ける中で福岡が身に着けた地力の差だった。



 この日、湘南は見事な立ち上がりを見せた。吉野、中町のダブルボランチがバランスを取って中盤の支配権を握ると、下がってくる佐野がボールを引き出して起点を作る。その動きに呼応して、高田と加藤がサイドを駆け上がり、柿本が裏のスペースを狙う。さらに、ボールを捌いた佐野が開いたスペースへ飛び出して新たにボールを引き出していく。15分には、佐野からのクロスボールに高田が飛び込んで、あわやというシーンも作り出した。

 しかし、この15分間を凌いだ福岡は、全体のバランスを立て直してコンパクトなゾーンを形成。中盤で湘南にプレッシャーをかけはじめた。ほどなく湘南に横パスや、後方へのパスが目立ち始めると、ここからは福岡のペース。エジウソンにボールが入るようになりボールが回り始めた。だが、引いてサイドに蓋をする湘南を崩すまでには至らない。「ピッチコンディションが非常に難しい状況」(松田監督)。後1本がつながらい状況が続く。

 そんな福岡の最初の決定機は40分、左サイドを突破した有光のクロスにアレックスが合わせた。しかし、これは吉野が身を挺してゴールマウスを死守する。その後も攻め続けるのは福岡。しかし、ゴールチャンナスが生まれない。粘り強いDFを見せる湘南と、ピッチコンディションの影響で、思うようにシンプルなパスが回せない福岡。勝敗の行方は後半に持ち越されることとなった。



 後半も、攻めに出る福岡と、守りを固めてカウンターを狙う湘南という図式で試合が進んでいく。最初の決定機は湘南。54分、自陣深いところからのフィードが高田へ渡ると、そのまま右サイドをドリブルで突破。その折り返しに坂本が合わせる。福岡サポーターが失点を覚悟した瞬間だった。しかし、ここはゴールマウスに戻っていた宮本が、ラインの上で身体でボールを弾き返す。福岡サポーターから安堵のどよめきが起こる。

 対する福岡は53分に福嶋が、68分には有光が決定的なシュートを放つもGKのファインセーブに阻まれ、72分に相手を完全に崩して放った太田のヘディングシュートがクロスバーに弾かれた。しかし、いずれも単発。守りを固める湘南に対して、思うように崩せない印象はぬぐえず、その印象は時間の経過とともに強まっていく。そして湘南も途中出場のアマラオにボールを集めて活路を見出さそうとするが、こちらも決定機には持ち込めず。試合は膠着状態に陥った。

 福岡は終盤になったところで増川を前線に。太田、福嶋と3人で前に並びパワープレーに出る。しかし、この3人にボールが中々渡らない。ボールを支配しながらチャンスが作れず、放ったシュートはゴールマウスに嫌われる。今シーズン、福岡に何度となく見られた光景だ。ただ違っていたのは、選手も、サポーターも、誰よりも強く勝利を望んでいたこと。その気持ちが冒頭の決勝ゴールを生み出した。劇的なゴール。そして山形が敗れたことで、福岡はとうとう3位に順位を上げた。



 ホベルトの劇的なゴールは、入替戦への出場権を賭けた争いで1歩リードを奪うという結果をもたらした。しかし指揮官は気を緩めない。「目の前の試合にひとつずつ取り組んでいくということが、これだけの結果を生んだ。せっかく取ったものを、やり方を変えたりして、みすみすこのチャンスを逃すということは絶対避けなければいけない」(松田監督)。目の前の試合こそが最も大事な試合。これまでと同じ気持ちで福岡は残り2戦に全てをかける。

 さて、敗れた湘南。11位という順位とは思えない試合内容は、上田新監督の下、フレッシュな気持ちでチーム改革に取り組んでいる証。もともと、若く才能ある選手が多いだけに、今後に希望が見えた試合だった。しかし、「全体的にレベルを上げなければいけないと思う。どこかを変えればすぐに変換できるというのではない」と上田監督が語ったように、足りないものはまだまだ多い。この悔しさを晴らすのは来シーズン。課題を克服して上位進出を成し遂げることをサポーターは信じて待っている。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
上田栄治監督(湘南ベルマーレ)記者会見
ホベルト選手(アビスパ福岡)試合後のコメント
(湘南ベルマーレ) (アビスパ福岡)
GK: 鈴木正人 GK: 水谷雄一
DF: 加藤大志 戸田賢良 浮氣哲郎 北出勉(70分/城定信次) DF: 宮本亨 千代反田充 増川隆洋 アレックス
MF: 中町公祐(83分/鈴木良和) 吉野智行 高田保則 坂本紘司 MF: 山形恭平(59分/福嶋洋) ホベルト 米田兼一郎(79分/松下裕樹) 宮崎光平
FW: 佐野裕哉 柿本倫明(65分/アマラオ) FW: エジウソン(56分/太田恵介) 有光亮太
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